基礎知識

基幹システムの入れ替え失敗の原因とは│どれくらいの期間で入れ替えるべき?

目次

1. 基幹システムとは

基幹システムとは、企業の中心的な業務(基幹業務)を支えるための情報システムのことを指します。具体的には販売管理、在庫管理、受発注管理、生産管理、財務会計などを行うシステムなどが該当します。

 

 

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基幹システムは、企業の経営資源を最適に活用するための重要なツールであり、企業の競争力を左右する要素の一つとも言えます。また、基幹システムの導入や更新は、大規模な投資と時間を必要とするため、その計画や運用は経営戦略の一部として重要視されます。

2. 基幹システムの入れ替えが生じるケース

企業の基幹システムは、数年周期で定期的な入替が必要となります。その入替が必要となる原因やきっかけの代表的な例は以下のようなものです。

・サーバやアプリケーションの保守期限が近付いている
サーバーやアプリケーションは、製造元や販売元によって保守期限が設定されていますが、この保守期限が終了すると、技術的なサポートやセキュリティ更新などが提供されなくなり、システムの安定性やセキュリティが保てなくなる可能性があります。また、新しい技術や機能が追加されないため、ビジネス環境の変化に対応できなくなることもあります。これらのリスクを避けるために、保守期限が近づいたサーバーやアプリケーションは新しいものに入れ替えることが必要となります。

・社内のシステム担当者がシステム構築したため属人化しており、担当者の退職によりメンテナンスが困難となる
システムの運用管理が属人化されている場合、専任担当者が退職すると、そのシステムの運用・管理ノウハウが失われ、システムのメンテナンスが困難になることがあります。また、新たに担当者を育成するには時間とコストがかかります。さらに、担当者が退職したことでシステムの問題が発生した場合、迅速な対応が難しくなり、ビジネスに悪影響を及ぼす可能性があります。これらのリスクを避けるために、専任担当者の退職に伴いシステムを新しいものに入れ替え、新たな運用体制を構築することが必要となります。

上記の例は、現状のシステム運用を維持するため、消極的な理由でシステムの入れ替えを行うケースとなりますがそれに対して、今後の事業戦略にそって攻めの姿勢でシステムの入替を行う場合もあります。

・DX(デジタルトランスフォーメーション)推進を行う為、従来のシステムからのIT投資判断
DXを推進するためには、従来のシステムだけでは対応できない新たな機能やサービスを提供する新しいシステムへの投資が必要となることがあります。例えば、AIやビッグデータを活用したデータ分析、クラウドサービスの利用、モバイルデバイス対応などが挙げられます。従来のシステムと新しいシステムの比較検討を行い、IT投資の判断をすることで、ビジネスの競争力を高めることが期待できます。

・現場の利用者から現行システムに対して改善要望が多くあがっている
現場の利用者が日々の業務を行う中で、現行システムの使い勝手の悪さや機能不足、パフォーマンスの問題などを感じ、改善要望を出すことがあります。これらの要望が多くなると、現行システムの限界を示している可能性があり、新しいシステムへの切り替えを検討するタイミングとなります。新しいシステムに移行することで、業務効率の向上やユーザー満足度の向上、新たなビジネスチャンスの創出などが期待できます。ただし、新システム導入にはコストや時間、人材の確保などの課題もあるため、そのメリットとデメリットをしっかりと比較検討する必要があります。

どの様なケースであれ、システムの入れ替えを行わず現行システムの手直しや運用改善で対応を行うことも行えないわけではないですが、入れ替えた場合に比べシステムの建て増し感は否めず、そのままでは目的を達成するために余分なコストがかかることも考えられます。また、技術的な側面からそもそも新たな技術の利用が出来ず、そもそも実現が出来ないこともあり得ます。

3.基幹システム入れ替えの手順

基幹システムの入れ替えは大がかりなプロジェクトになることが多く、計画的に進めることが重要です。以下に一般的な基幹システム入れ替えの手順を示します。

1.現状分析
現在使用している基幹システムの機能、性能、問題点などを詳細に調査します。これにより、新しいシステムが満たすべき要件を明確にします。

2.要件定義
新しいシステムが満たすべき機能や性能を明確に定義します。これには、現状の問題点を解決するための要件も含まれます。

3.システム選定(ベンダー選定)
要件を満たすシステムを選定します。これには、製品の評価や比較、ベンダーとの交渉などが含まれます。

4.導入計画の作成
基幹システムの導入スケジュール、予算、リソース等を計画します。

5.データ移行計画の作成
現在のシステムから新しいシステムへのデータ移行計画を作成します。

6.システム導入
基幹システムを導入し、設定やカスタマイズを行います。また、新システムにデータを移行します。

7.テスト
システムが正しく動作するか、要件を満たしているかをテストします。

8.運用開始
テストが成功したら、新しいシステムの運用を開始します。

9.旧システムの廃止
新しいシステムが安定して動作し、旧システムが不要になったら、旧システムを廃止します。

10.保守・運用
新しい基幹システムの保守や運用を続けます。不具合が生じた場合は程度に応じてベンダーに問い合わせを行います。

4.基幹システムの入れ替えで失敗する原因

基幹システムの入れ替えで失敗する原因を紹介します。

1.入れ替えの目的が明確になっていない
基幹システムに限らず、自社にとって有用なシステムにするには、あらかじめどのようなことが実現したいのか、何を重要視するのかといった、入れ替えの目的を社内で整理をし、まとめることが重要です。

2.現場の意見を反映しすぎてしまう
多くの現場の意見を重視してしまうと、意見がまとまらず、理想的なシステム像からかけ離れた基幹システムに入れ替えてしまうといったケースもあります。現場の意見を聞くことは重要ですが、基幹システムの入れ替えの際には、プロジェクトマネージャーがきっちりハンドリングすることが重要であり、正しい判断ができる体制を作りましょう。

3.自社に合っていないシステム・ベンダーを選定している
基幹システムの目的や理想を明確にしていても、基幹システムの専門知識を持っていなければ具体的な要件を固めるのは難しくなるため、選定する際は、自社の要件整理を的確に行える提案力があるかどうか、また現状や理想像をヒアリングして相談に乗ってくれるかどうか、納品後のサポート体制が充実しているかどうかも確認してから選定することをおすすめします。

システム導入のプロセス│失敗しないためのポイントとは?

5.基幹システムの入れ替えの成功ポイント

システムの入れ替えを成功させるには、以下のような点について注意する必要があります。

1.ベンダーに依存せず、まずは自社内で導入目的をはっきりさせる
前項でのシステム入れ替えの要因と密接にかかわってきますが、何のためにシステムを入れ替えるのかを自社内で明確にする必要があります。目的を自社内で定められていないと、ベンダーに対して提案を受けたい課題を伝えられず、またベンダーの提案内容と自社の要件との適合性を判断することが出来ません。
一般的に、特に中小企業においては社内にIT専門の部門や人材を抱え、社内開発するよりも、外部の開発会社へ依頼する傾向が強い傾向があり、なかなか社内での取りまとめを行うのは難しいことではありますが、システムで実現したいこと、実現したいことの優先順位については自社でまとめ、提示できるように社内体制も含め準備することは大変重要となります。

2.製品に業務を合わせられるか
システムを現行の自社の業務に合わせて手を入れていくと、開発コストがかさみ、属人的な要素が増えていくため近年は製品の機能に業務を合わせて運用を見直す方針が取られる傾向があります。
製品に業務を合わせるには、利用現場の協力が必要となりますが、多くの場合、現場発信以外のシステムの変化は歓迎されません。
入替に伴う変化のデメリットだけではなく、目的とメリットを理解いただくことが重要です。

3.税制改正やIT環境の変化に柔軟に対応できるシステムであるか
基幹システムでは、制度の変更などによりシステムの改修が必要なるケースや、利用するIT機器のサポート期限により、システムの改修・刷新が必要となるケースなどがあります。

こういった場合、メーカーは修正・機能アップのプログラムの提供や、場合によってはバージョンアップによる対応を準備しておりますが、保守サービスへの継続的な加入や、別途費用が必要となるケースが一般的であると思われます。入れ替え検討をしているシステムが制度変更や機能追加、またバージョンアップ時にどのようなコストがかかるのか、把握することは重要です。

なお、クラウドの1形態であるSaaS型のシステムの場合、システムの最新化はサービスに含まれており、継続的な利用には安心が出来る反面、自社向けのカスタマイズが出来ない、制限があることが多いため、製品に業務を合わせられるかが鍵となります。

6.基幹システムの入れ替えを進める前の注意点

基幹システム入れ替え時の注意点をご紹介します。

1.移行プロジェクトの計画策定
基幹システムの入れ替えは大規模なプロジェクトとなるので、詳細な計画を立てる必要があります。計画には、スケジュール、リソース、コストなどが含まれます。

2.データ移行
データの移行前には、データの損失や破損を防ぐために適切にバックアップを行う必要があります。

3.トレーニング
新しいシステム導入後は、従業員がそのシステムを使いこなせるようにトレーニングの実施が必要です。

4.社内コミュニケーション
基幹システムは、日々利用されることが多く、移行のタイミングを事前に社内に周知させる必要があります。

7.基幹システム入れ替えの期間や費用感

基幹システムの入れ替えは、企業のIT基盤を刷新し、経営効率を大きく向上させることが可能です。しかし、その期間や費用には大きなバリエーションがあり、計画段階で正確な見積もりが求められます。

・入れ替えの期間
一般的に基幹システムの入れ替え期間は、プロジェクトの規模や複雑性によって異なりますが、数ヶ月から数年にわたることがあります。期間の長さは、既存のシステムの状況、選定する新システムの機能範囲、およびデータ移行の複雑さに左右されます。適切な期間設定は、プロジェクトの成功に不可欠であり、事前の詳細な計画と調整が求められます。

・入れ替えの費用
基幹システム入れ替えの費用もまた、選択するシステムのタイプ(オンプレミスまたはクラウド)、必要なカスタマイズの程度、サポートおよび保守契約によって大きく異なります。初期投資だけでなく、長期的な運用コストも考慮する必要があり、全体的なコスト削減や効率向上を目指すべきです。

・コスト削減と効率化
適切なシステム選定と効率的なプロジェクト管理により、基幹システムの入れ替えはコスト削済みを図りつつ、業務の効率化を実現できます。新システムの導入により、業務プロセスを最適化し、従業員の作業負担を軽減することが期待されます。

8.どれくらいの期間で基幹システムを入れ替えるべき?

一般的に基幹システムの寿命は14年前後と言われています。一方で基幹システムの入れ替えは、手間やコストが多くかかるため、業務体制などを鑑みて入れ替えの判断をする必要があります。
また古い基幹システムを使い続けることで、処理のスピードの低下や不具合などが発生しやすく、業務効率の低下にもつながります。その他にも、セキュリティ面や維持費用、機能面も限定的な使用となってしまい、顧客満足度の低下を招く恐れがあります。
基幹システムを入れ替えることで、上記の課題が解決できるため、古い基幹システムを導入している企業は、入れ替えを検討することをおすすめします。

9.基幹システムをクラウド移行するメリット

近年は基幹システムをクラウドへの移行を検討・選択する企業が増えています。
ここでいうクラウド移行とは、現在利用中のシステムを他社管理のサーバに置くことを指しており、システム刷新時にクラウド型のシステムを選択する場合と異なり、システムの機能はそのままにクラウド化できます。

以下に、基幹システムをクラウドへ移行するメリットを記載します。

・BCP対策として有効
東日本大震災では、被災地の企業の多くでIT機器が破損し、システムの復旧に時間や費用が必要となり、データベースが失われてしまうなど回復困難な障害が発生しました。
クラウドの場合、自社と離れた位置にある災害対策の施されたデータセンターを利用するため、事業所が被害を受けた場合でも被害を受けにくいため、企業のBCP対策として有効です。

・自社の管理コストや運用負担を軽減
クラウドの場合、システムのハードウェア部分の管理・運用はITベンダーが提供するサービスとなるため、システムの運用にかかる自社の負担を軽減することが出来ます。
この管理作業のなかには一般的に、サーバ機の正常動作の監視や、サーバ機に対するセキュリティ対策も含まれます。

・サービスを利用する場所の制限を受けにくい
近年はコロナ過によるテレワークの推進や、営業職の社外からの利用など様々な環境での利用が望まれています。
基幹システムをクラウド化した場合、インターネット環境があれば、社内のデスクに戻らずとも作業が可能となり、様々な働き方に対応し、効率的な仕事が行えるようになります。

販売管理システム導入のメリット・デメリットとは

10.基幹システムの入れ替えならシステムクレイスにお任せください!

システムの入替を行うには、前向きな目的と現場の協力と理解が重要となりますが、それがそろったとしても、多数あるシステムのなかから、自社に業務に合わせやすいシステムを選定することは、大変難しいことです。

システムクレイスでは、販売管理システムを多く取り扱っておりますが、販売管理システムを検討される際には、それぞれの企業に合った適切な販売管理システムの選定をサポートさせて頂いておりますので、ぜひ一度ご相談下さい。

30年のシステム導入・運用実績を誇る
システムクレイス

システムクレイスでは、30年にわたりシステム導入・運用のご支援を行ってきた経験をもとに、中小企業にとって最適な販売管理システムを選定いたします。

専任のSE担当者が現在の販売管理業務における課題の把握、業務フローの整理など、販売管理システムを導入するうえで、抑えておくべきポイント、ご要望の詳細をお伺いした上で、最適な販売管理システムの選定を行う無料相談も行っていますのでお気軽にご利用ください。

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