基礎知識

システム導入のプロセス│ベンダー選定で失敗しないためのポイントとは?

目次

 

企業がDXを推進する中でITシステムの導入は欠かせないものとなりました。しかし、いざシステムの導入を行うとなった場合、ベンダー任せにプロジェクトを進行してしまうと思わぬ失敗につながるケースもございます。
本コラムではシステム導入のプロセスの全体象を解説し、システム導入を成功に導くための基本をご紹介します。

1.システム導入のプロセス

システム導入を成功させるためには、まずは正しいプロセスを理解することが重要です。ここでは一般的なシステム導入のプロセスをご紹介します。
ご紹介するステップは必ずしも一方向に進むものではなく、反復的に行うこともあります。

1.導入目的の明確化
2.ベンダーの選定
3.要件定義
4.スケジュール作成・管理
5.システム設計/構築
6.テスト
7.リリース
8.トレーニング
9.運用

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導入目的の明確化

まずは現状の業務課題を整理し、システム導入によってどのような課題を解決したいのかを明確にしておきます。目的が明確であるほど、導入するシステムの選択や必要な機能を特定しやすくなり、選定にかける時間や、不必要な機能をつけることも防ぐことができます。
さらに、目的が明確であることで、組織の関係者が同じ方向を向き、プロジェクトの進行をスムーズに進めることになります。

ベンダーの選定

課題を解決することが出来そうなシステムを販売、構築するベンダーを選定します。初めてシステムを導入する場合は複数のベンダーに提案と見積を依頼し、慎重に比較を行い、ベンダーを選ぶ必要があります。

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システムの入れ替えを検討している場合は、自社に適していないシステム・ベンダーを選定している可能性が高いですので、より一層慎重に選ぶ必要があります。

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要件定義

ベンダーが決まったら、システムが満たすべき要件を明確にする要件定義を行います。要件定義では、自社で整理した課題が解決できる内容になっているかがポイントとなります。
要件定義で定められた要件はテストを実施する際の基準ともなるため、要件定義が不十分だとシステムの品質の確認自体が不十分なまま進んでしまうことがあります。

スケジュール作成・管理

要件定義か完了した後、ベンダーはシステムの設計に入ります。要件定義の時にに決めたスケジュール通りに進捗しているか管理します。

システム設計/構築

ベンダー側は要件定義の内容に沿ってシステムの設計/構築を進めていきます。

テスト

システムが要件を満たしているかを検証するためのテストを行います。
要件に沿わない部分が見つかった場合は、ベンダー側に修正を依頼しますが、そもそも要件定義で定めていない内容については、対応範囲外になってしまうので注意が必要となります。

リリース

テストが完了したら、本番環境にシステムを導入します。

トレーニング

システム導入後は組織内でうまく活用できるように、研修の実施や、マニュアルの作成などを進めます。

運用

実際に運用を行いながら、導入効果が得られているかや、業務課題の解決が実現できているかなどを確認します。
もし、一定期間が経過して、効果が得れれないようであれば、システムの入れ替えなども検討する必要があります。

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2.システム導入におけるよくある失敗とは

システム導入におけるよくある失敗を理解しておくことは、システム導入前のベンダー選定段階にいるユーザーにとって非常に重要です。以下によくある失敗を記載します。

a.目的が不明確

・目的が不明確なままシステムを導入した結果、ユーザーのニーズや要件が把握できず、システムが期待通りに機能しない場合が生じる可能性があります。
・ユーザーの期待と異なるシステムが導入されることで、業務効率の向上や問題解決が期待外れとなり、結果的に投資の回収が難しくなることが考えられます。
・プロジェクトに明確なゴールがないため、進捗管理が難しくなり、予算や期間の制約に対応できなくなる場合があります。

b.プロジェクト管理の不備

・スケジュール管理の不備により、タスクや作業の進行状況が把握できず、遅延が発生してしまう場合があります。
・予算管理の甘さにより、予算超過が起こり、追加の資金調達が必要になる場合が考えられます。
・プロジェクトの範囲が不明確であるため、スコープクリープ(範囲の拡大)が発生し、計画外の作業や機能追加が増えてしまうことがあります。
・リスク管理が不十分であるため、問題が発生した際の対応策やリカバリー計画が不明瞭である場合が考えられます。
・プロジェクトメンバーの役割や責任が明確でないため、タスクの重複や担当漏れが生じ、進捗に影響を及ぼすことがあります。

c.ユーザーのトレーニング不足

・ユーザーがシステムの基本操作や機能の使い方を理解していないため、システムを効果的に活用できず、業務効率が低下してしまう場合があります。
・必要なトレーニングが行われていないため、ユーザーがシステムの活用範囲を把握できず、本来の利点や機能を活かせない場合が考えられます。
・トレーニング不足によりエラーや問題の解決能力が低くなり、ユーザーが発生した問題に対処できず、業務上のミスや遅延が生じる可能性があります。

d.システムの互換性の不足

・新しく導入されるシステムが既存のシステムとデータと互換性がないため、データの移行や統合がうまく行えず、重要な情報の喪失や混乱が生じる可能性があります。
・システムの互換性の不足により、他の既存システムとの連携が困難になり、情報の共有や業務の効率化が阻害される場合が考えられます。
・導入されたシステムが、既存のインフラやネットワーク環境と互換性がないため、システムのパフォーマンスが低下し、応答時間が長くなるなどの問題が発生する可能性があります。

e.セキュリティの不備

・システムのセキュリティ対策が不十分であるため、不正アクセスやハッキングなどのセキュリティ侵害が発生し、重要なデータや個人情報が漏洩する可能性があります。
・システムに脆弱性が存在しているため、マルウェアやウイルスなどの攻撃に対して十分な防御ができず、システムの安定性や可用性に影響が及ぶ場合が考えられます。
・セキュリティポリシーが不明確であるため、従業員が適切なセキュリティ対策を実施せず、社内からのセキュリティリスクが高まる可能性があります。

f.社内への事前承認

・システム導入の計画や目的が社内関係者に適切に伝えられなかったため、理解が得られず、支援や協力が得られない場合があります。
・事前に社内関係者とのコミュニケーションが不足していたため、導入に対する懸念や要望が把握されず、問題が発生した際の対応が遅れる場合があります。
・社内への事前承認が得られずにシステム導入が強行された場合、反発や抵抗が生じ、システムの受容性が低くなり、プロジェクトの成功が阻害される可能性があります。

3. システム導入のメリット・デメリット

システム導入は、業務の効率化やデータ管理の改善、誤りの減少といったメリットがあります。業務の自動化を通じて、煩雑な手作業を削減し、従業員がより戦略的な業務に集中できるようになります。これにより、時間の節約はもちろん、業務プロセスの精度が高まり、結果的に全体の生産性が向上します。さらに、システム導入による統合データ管理は、情報の一貫性とアクセスの容易さを保証し、企業の意思決定プロセスの質を大幅に向上させることができます。分析ツールと組み合わせることで、ビジネスインテリジェンスの向上にも寄与し、より効果的な戦略立案が可能になります。

一方で、いくつかのデメリットも考慮する必要があります。一番大きなデメリットのシステム導入に伴う初期投資の負担です。高度な技術を導入するためのコストはしばしば高く、特に中小企業にとっては大きな財務的負担となることがあります。また、システムに過度に依存することで、従業員のスキルが陳腐化する可能性があり、業務プロセスの柔軟性が失われる恐れもあります。システムの導入と運用には、従業員の継続的なトレーニングが不可欠であり、これには追加の時間とコストがかかります。

さらに、導入後のシステムのメンテナンスやアップデートが不十分であると、性能の低下やセキュリティリスクの増加につながります。技術の急速な進化に伴い、新しいセキュリティ脅威が常に出現するため、システムの安全性を維持するためには定期的な更新が必要です。このような維持管理には、専門知識と継続的な注意が求められ、企業にとってさらなる挑戦となります。

4.システム導入を成功に導くためには

システム導入を成功に導くためには、以下の4つの要点が重要です。

a.事前準備を念入りに行う

システム導入の目的と具体的な要件を明確に定義することで、プロジェクトの目標を明確化します。
自社だけでの検討が難しければ、弊社システムクレイスを含むベンダーに相談しシステム導入に向けての計画を策定します。

b.プロジェクトマネジメントの徹底

プロジェクトマネジメントを徹底することで、スケジュール管理、コスト管理、品質管理を適切に行い、計画通りに進めることが可能です。問題が発生した場合も素早く対処する体制を整えます。

c.トレーニング実施。事前にベンダー側で研修会などが行われるか確認

システム導入後のユーザートレーニングが重要です。ベンダー側が事前に研修会などのサポートを提供しているかを確認し、従業員のシステム理解とスキル向上を図ります。

d.現場の意見を取り入れる

システム導入は経営陣だけで決定するのではなく、実際にシステムを使用する現場の担当者の意見を重視します。彼らのニーズや要望を聞き入れることで、実際の業務に合ったシステムを導入することができます。
これらの要点を順守し、事前の準備から現場の意見を取り入れつつプロジェクトを進めることで、システム導入を成功に導くことができます。コミュニケーションと協力を大切にし、利用者のニーズに合致するシステムを実現しましょう。

5.システム導入を成功させるためにはまずは適切なパッケージ・ツール選びが重要

システム導入を成功させるためには、適切なパッケージ・ツール選びが非常に重要です。選定の段階で失敗すると、後に問題が生じる可能性が高まります。

a.必要以上の機能とコスパの問題

選定段階で必要以上の機能を備えた高価な製品を選択してしまい、結果的に使わない機能のために余分なコストが発生してまったり、予算オーバーとなることがあります。
導入するシステムの具体的な要件を明確にし、業務課題に適した機能を持つかつコストパフォーマンスが良いツールを選ぶことが大切です。

b.使い勝手の問題

導入した製品が現場で使い勝手が悪く、従業員が不便を感じたり、業務の効率が低下したりする場合があります。
導入前にユーザーからのフィードバックやトライアルの実施を行い、ツールの使い勝手を確認することが重要です。ユーザーの意見を取り入れることで、使いやすい製品を選択できます。

c.業務課題や既存システムとの連携

製品選定が業務課題を解決するために適していない場合や、既存のシステムとの連携がスムーズに行えない場合、業務の効率向上が阻害されることがあります。
導入する製品が業務課題を解決し、既存システムとの連携が円滑に行えるかを確認しましょう。必要に応じてカスタマイズやAPI連携の検討も重要です。

最適なツール選びのためには、導入するシステムの目的や要件を事前に明確にし、現場の意見を十分に取り入れることが重要となります。ツール選定は将来のプロジェクトの成否に大きく影響するため、慎重に行い、業務課題を解決する最適なツールを選択しましょう。

6.ベンダー選定で失敗しないようにするには

ベンダーの選定で失敗しないためのポイントをいくつかご紹介いたします。

ベンダーの調査

まず、ベンダーの特徴やサービスの概要を調査することから始めます。調査を行う際は、自社の企業規模に合ったシステムであるか、自社の業種に対応しているかなど絞り込みをかけて調べると良いでしょう。
ベンダーを調査する際は一社ずつ確認する方法もありますが、代理店などの第三者の客観的な意見を取り入れることも重要です。

適切なパッケージ選定

パッケージをそのまま導入した場合は、機能に物足りなさを感じることもありますが、カスタマイズを追加で行うことで開発費用がプラスでかかり、当初の計画より予算がオーバーしてしまうなんてこともあります。
カスタマイズを行うこと自体は悪くはないですが、その分費用と時間を消費してしまいますので、まずはパッケージで満たすことができるのかも選定ポイントの一つとなります。

ベンダーが提供するサービスの対象範囲

システムの機能面はもちろんですが、導入後の教育制度やサポート体制、法令などへの対応も確認すべきポイントです。

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7.ベンダーの選定にお困りならシステムクレイスにご相談

ベンダー選定お困りの差異には、システムクレイスが第三者の視点で忖度なしのご提案をさせていただきます。導入目的や業務課題を詳しくヒアリングし、その上で最適なシステムをご提案いたします。
お客様のビジネスの成功を最優先に考え、信頼性と効果的なシステムを選ぶためのサポートをさせていただきますので、どうぞお気軽にご相談ください。

30年のシステム導入・運用実績を誇る
システムクレイス

システムクレイスでは、30年にわたりシステム導入・運用のご支援を行ってきた経験をもとに、中小企業にとって最適な販売管理システムを選定いたします。

専任のSE担当者が現在の販売管理業務における課題の把握、業務フローの整理など、販売管理システムを導入するうえで、抑えておくべきポイント、ご要望の詳細をお伺いした上で、最適な販売管理システムの選定を行う無料相談も行っていますのでお気軽にご利用ください。

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